コンビニ画五十六景とは|吉岡雅哉の絵画シリーズ解説
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「コンビニ画 五十六景」は、画家・吉岡雅哉が2013年頃から継続して描いている絵画シリーズです。
地方に点在するコンビニの風景を、印象派的な筆致で描いた本シリーズは、日常の中にある光や時間の気配をとらえながら、現代日本の風景を新たな視点で提示しています。
本記事では、「コンビニ画 五十六景」がどのような作品なのか、その背景や特徴についてご紹介します。
コンビニ画 五十六景とは

「コンビニ画 五十六景」は、吉岡雅哉が長年描き続けてきた“コンビニ”というモチーフを軸に構成されたシリーズです。
コンビニは、誰もが日常的に利用する身近な存在でありながら、絵画の主題として描かれることはありませんでした。本シリーズでは、その身近な風景を絵画として提示することで、見慣れた景色に新たな視点を与えています。
なぜコンビニを描いたのか
吉岡がコンビニを描き始めたきっかけは、夜のコンビニの風景でした。
吉岡が暮らす神戸の郊外では、夜は非常に暗く、周囲に光がほとんどないようなところも多いそうです。そうした環境の中で、ある日、コンビニだけが強い光を放っている光景に出会ったとき、そのコントラストに強く惹かれ、「これは絵になるのではないか」と感じたことが、コンビニが吉岡の絵画のモチーフとなった出発点となりました。
日常の風景を描くということ
本シリーズのモチーフは、特別な場所ではなく、日常の中にあります。それはどこにでもあるコンビニの風景です。
吉岡は、生活の中で出会った風景をもとに制作を行っており、その動機は必ずしも明確に言語化されているわけではありません。むしろ、後から振り返ることで意味が立ち上がるような性質を持っています。
そのため、作品は一つの解釈に固定されることなく、見る人それぞれの記憶や経験と重なりながら、異なる読み取りを許す開かれた構造を持っています。
コンビニ画の特徴|印象派的なタッチ

コンビニ画のもう一つの特徴は、印象派の影響を受けた描き方にあります。
コンビニを中心に据えながらも、その周囲の光や空気、時間帯の変化が繊細に描き分けられており、一枚一枚が異なる表情を持っています。
見慣れた風景でありながら、普段は意識されない光の変化や空気感を捉えている点が、本シリーズの大きな魅力です。
変化し続ける風景を記録する
コンビニは、常に同じように見えて、実際には少しずつ変化しています。
店舗の仕様や周辺環境、ブランドの変化など、その姿は時間とともに移り変わっていきます。
絵画として描かれることで、その一瞬の状態が固定され、時間が記録されます。結果として、本シリーズは現代日本の風景を記録する役割も持つようになっています。
「五十六景」というタイトルの意味
本シリーズが「五十六景」と名付けられている背景には、浮世絵の影響があります。
江戸時代の浮世絵には、「富嶽三十六景」や「東海道五十三次」といったシリーズ作品があり、大衆的な風景を複数の視点から描く文化が存在していました。
コンビニという現代の大衆的な存在を、同様にシリーズとして提示することで、現代の風景を記録し共有するという意図が込められています。
コンビニは現代日本の風景なのか
近年、海外からの来訪者にとって、日本のコンビニは印象的な存在となっています。
日常的な施設でありながら、その利便性や整備された環境は、日本独自の文化として認識されているようです。
本シリーズは、そうした現代日本の象徴的な風景を描いた作品として、今後さらに異なる文脈で読み取られていく可能性を持っています。
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